過去の作品紹介 2016年度
2016年12月例会 『歓喜の歌』
感動のラストシーンを飾るは、会員参加のコーラス隊♪
ずさんな会館職員のやらかした
最悪のダブルブッキングが、一皿の餃子によって、
歓喜のコラボレーションへと変貌してゆく、笑いと涙のミラクル人情劇。
年の瀬も押し迫った12月、冬休みも間近な公民館。
そこで働く”主任”(六角精児)と”加藤”(酒井俊也)は、実は別々のゴスペルとコーラスのグループを同じグループと勘違いし、大晦日のコンサートホールをダブルブッキングしている、ということに気が付いた。
「どうせ素人の発表会だから」と、2組を同時に出演させようと交渉するが、そんな適当な態度に両グループは大激怒! どうしてそんなに怒るのかわからない二人は、その適当さがアダとなり、ほかにも次から次へと問題が発生・・・
はたして、二人は無事に2組の「歓喜の歌」を劇場に鳴り響かせることができるのか?
♪ 東北演鑑連55周年記念企画!
この企画の事の起こりは2011年、そう、あの震災の時です。
どこよりも早く義援金と励ましのメッセージを送り届けてくださった扉座と横内謙介さん。そのメッセージには、「今はまだ無力だけど、きっといつか演劇が力になれる時が来る。その時はぜひ一緒に!」という思いがたくさん込められていました。
その思いを受け、会員も一緒になって何かできないだろうか・・・と企画されたのが今回の舞台です。
その思いを受け、会員も一緒になって何かできないだろうか・・・と企画されたのが今回の舞台です。
志の輔師匠の創作落語「歓喜の歌」を中心に、同じく師匠の「ガラガラ」と「ディアファミリー」を組み合わせて、オリジナルの作品にまとめてあるのだそうです。
会員参加のコーラス隊は東北6県の全団体で組織されていて、
8月から練習を重ね、出番を今か今かと・・・いえいえ、ハラハラドキドキと待ち構えているのです。
♪ 六角精児さん と 酒井俊也さん が 共演
この舞台で”ダメダメな会館職員”で共演するこのお二人、実はとっても仲のいい大親友とか。
でも、持っているキャラが似ているので、実はこれまで共演する機会がなかったそうなのです。
先日行われた記者会見で酒井さんは、何度も訪れている浪江町でのボランティア活動のことを話されていました。 六角さんも「人は人のことを簡単には救えない、けれど立ち直っていく、元気になっていくことにちょっとでも役に立てれば」と話されていました。
♪ 歌唱指導はあの 深沢桂子先生!
8月、立ち上がりのワークショップには、東京から音楽監督の先生と歌唱指導に出演者が来てくださいました。
その熱血指導はとても楽しく、「参加しようかどうしようか…」と悩んでいた人も「楽しみになったわ!」と笑顔で帰るほど、みんなノリノリでした。
その熱血指導はとても楽しく、「参加しようかどうしようか…」と悩んでいた人も「楽しみになったわ!」と笑顔で帰るほど、みんなノリノリでした。
じつは、指導を受けてびっくり!深沢桂子先生は知る人ぞ知る、プロのミュージカル俳優にも教えている方で、「アイ・ガット・マーマン」を始めとする宮本亜門さんの作品や、「ザ ロッキー ホラーショー」など海外作品の音楽監督、博品館やわらび座のミュージカル作品の作曲も手掛けている方なのです♪
10月末には東京で、各地のリーダーを集めての練習会もあり、熱く!楽しい指導を受けてきましたので、各地のコーラス隊も一層、「感動の舞台のフィナーレを飾るにふさわしいコーラス」を届けるべく、奮闘していくことでしょう!
2016年10月例会 ミュージカルコメディ『死神』
「私と契約してお金儲けしない? その代わり私と…❤」
若くてカワイイ“死神”にそんなコトを言われたら
金もない、女にもモテない、さえない葬儀屋の主人・早川実(左とん平)は、婿入りした女房タツに「仕事も家庭も夜の営みもダメダメだ」と責められている。そんな生活に嫌気がさしたある日、メイド姿の女死神・ロロ(北川理恵)と出会い「一緒に人助けをして金もうけをしよう」と誘われる。
ロロへの報酬は「一人助けるごとに私を抱いてほしい」というもの。 半信半疑で医者に変貌した早川は、早速死にそうな社長のところに出向いて行き、あっという間に死んだ社長を生き返らせる! すっかり元気な姿になった社長からふんだんな謝礼をもらった早川は、約束通りロロを恐る恐る・・・・・!❤
男としての自信も取り戻した早川は、ロロを信じ、次々と「人助け」をして大金持ちに! ・・・が、しかし、楽してお金が儲かって、若くて美人な女が抱ける! こんなオイシイ話が簡単に転がっているはずもなく・・・。
“死神” の 仕事か 気まぐれか 気の迷いか?
人の余生は誰が決めてる???
今回、この作品を立ち上げることになったのは、左とん平さん主演で、ミュージカル「天切り松 人情夢がたり」を8年間全国の演劇鑑賞会の例会で巡演したことが始まりです。
演劇鑑賞会の例会を初めて経験したとん平さんの、例会に対する熱い思いを伺い、「是非、もう一度イッツフォーリーズと全国を巡演したい」という願いを実現するために、次回作としてこの作品を選びました。
とん平さんの願いとあって、脚本に水谷龍二さん、演出に鵜山仁さん、そしてイッツフォーリーズとの公演という「天切り松カンパニー」での新作となったのです。
今の時代に通じるミュージカルに生まれ変わります♪
1972年から再演を繰り返してきた歴史ある名作、いずみたく・藤田敏雄作品の代表作が今、新しい力と感性が加わり、新作としてよみがえりました。
原作は、三遊亭圓朝がグリム童話から編み出したといわれる落語「死神」を元に、今村昌平がオペラ化した台本が面白い!ミュージカル化したらどうか? と西村晃が企画を持ち込んだのがきっかけです。 初演は西村晃・今陽子主演で大坂労演を皮切りに全国を巡演しました。
人の迷い、誘惑が悪事となり、いつの間にか世の中の破滅を引き起こし、更には自分の命さえ縮めることになるという早川という役は、何故か憎めない愛おしさがあり、また死神は、永遠に存在する非道極まりないものでありながら、刹那と寂しさ、孤独と現実を感じさせます。 現代社会に起きているテロや自然災害もまた、全てどこかで人災に繋がっていることを、この落語の深いメッセージにかぶせて新しく舞台を創り上げたいと思っています。
(企画意図より抜粋)
2016年8月例会 ピアノソナタ「月光」による朗読劇『月光の夏』
生の ”ピアノ” も一人の出演者!
4人 と 1台 で描く 実話 をもとにした感動の 朗読劇
佐賀県鳥栖市―――。戦後45年のこの年、鳥栖小学校の古いグランドピアノが廃棄されようとしていた。
かつてこの学校で教師をしていた吉岡公子は、それを聞き、何とかピアノを保存できないか、と願い出る。彼女にはこのピアノにまつわる忘れられない思い出があったのだ・・・・・。
太平洋戦争末期の昭和20年初夏―――。音楽を愛する上野音楽学校出身の学徒2人が、この学校にグランドピアノがあることを聞きつけ「今生の別れにピアノを弾かせてくれ」と駆けつける。当時代用教員としてその場に行き合わせた吉岡は、彼らの「自分たちの最後の曲「月光」を心に焼き付けていて欲しい」という思いを胸に、戦後を生きてきたのだった。
「平和の願いの証しとしてピアノを保存しよう」
学校の求めに応じ、全校生徒の前で初めてこの話を語ったことから、事態が思わぬ方向へと発展していくことに……。
ステージ中央には一台のピアノ。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ「月光」の美しい音色と共に、4人の出演者が一人ずつスポット・ライトを浴びながら朗読劇は展開します。
「この朗読劇は、一人の人がいろいろな役を演じながら進んでいきます。 客観的な説明役になったり、次の瞬間には個人の役を演じたり、言葉だけでその人物の人生、実生活を感じさせていかなければならない。 どんな工夫を?という質問に答えるとしたら、余計な色付けを抑えて、事実をそのまま伝えることを大切にしています。」
出演者の一人、岸波万里子さんはこう語っています。
観る者の想像の世界をひろげ、のみならず、人間の息吹も伝わる臨場感のある生の舞台。 名曲の調べとあいまって、胸で聴き、心の目で観る、味わい深い感動のドラマです。
2016年6月例会「ブンナよ、木からおりてこい」
「ブンナよ、木からおりてこい」は、1978年4月28日青年座劇場で産声を上げました。 当初は全国の中学校・高校の演劇鑑賞教室や、おやこ・子ども劇場の例会として、次に、全国の演劇鑑賞団体の例会として全国を巡り、さらに、中国、ロシア、アメリカ、韓国、と海外公演も行った作品です。
そうして積み上げた上演回数は 1140回。青年座で最も多くの俳優、スタッフがかかわった、青年座の財産演目です。
この間、4人の演出家の手を経て、その都度その時代の中で”ブンナ”と向き合い、”今”を生きる人々と共感できる”ブンナ”を作り上げてきたのです。
2011年3月11日、東日本大震災。 この悲惨な出来事を経て、私たちは改めてこの日本で、世界で、生きることを考えました。
そして2012年8月20日、5代目演出家・磯村純を中心に新たなスタッフ、キャストで新生ブンナを立ち上げました。
新たな”ブンナ”にご期待ください!!
≪ものがたり≫
ブンナよ、君は生きるなを生きる
満ちろ天と地に命のよろこび この世にはもっともっと広く、平和で、仲間の殺されない未知の国がある。
そんな思いを胸にトノサマ蛙の子ブンナは、住み慣れたお寺の境内にそびえ立つ椎の木に登ります。 やっとの思いでてっぺんまで這い上がったブンナ。そこには、ブンナがもぐり込むことの出来る土のたまった空間がありました。太陽が輝き、草花が風にそよぎ、うまい虫までが飛んでいる。
天国だ―――!
しかし、そこはトンビの餌ぐらだったのです。
次々に 連れてこられる傷ついた雀、百舌、鼠、蛇たち。彼らは「死」を前に壮絶な戦いを繰り広げるのでした…。 天国から地獄へ突き落されたブンナ。土の中で怯え、慄きつつ、なを生きることを考えるのですが…。
季節は秋から冬へ、そして長い長い冬眠―――。
春がやってきた。
眠りから覚めたブンナは、鼠から生まれ出てきた虫たちを食べ、仲間が住むお寺の庭へ降りていくのでした。
(公演チラシより引用)
2016年4月例会「夢千代日記」
「夢千代日記」は、NHKドラマ人間模様として、1981年と翌年、さらに「新・夢千代日記」として1984年に放映されました。 吉永小百合さんが、胎内被曝者として、しかも人生の吹き溜まりのような温泉町の芸者で登場したことが、視聴者を魅了しました。
前進座による舞台版は、2010年秋に東京で初演。 テレビシリーズから舞台にふさわしいエピソードを組み上げて新たに劇化しました。 胎内被曝という重いテーマを内在させながらも、人々の明るく強く生きる姿を映し出しています。
三味線、踊り、唄、そして、旅回り一座など、前進座女優陣ならではの芸も存分にお楽しみください。
≪ものがたり≫
山陰の山あい、余部鉄橋を越えたあたりの、忘れられたような街・湯の里温泉。《はる家》はその町の小さな置屋である。 そこには、芸者の菊奴や金魚、賄いのスミといった、哀しい過去や心に傷を負った女たちが肩を寄せ合うように暮らしていた。
亡き母の跡を継いだ《はる家》の女将・夢千代は、いつも自分のことより周りのことを気遣いながら生きてきたのだが、その体は病に蝕まれていた。
その《はる家》に見知らぬ男が迷い込んできた。彼は、まったく記憶を失っていたのである。そして何時しか、過去を捨て、夢千代のいるこの町で暮らすことを望むようになる。
そんな折、神戸から、山陰に進出しようとするヤクザの沼田らが入ってくる。ところが沼田はあの広島のピカの日、夢千代の母に助けられていた・・・・・・。
もう少し広島での母のことを知りたい。そして自分の過去から逃げてはいけないと夢千代は思うのであった。
一方、見知らぬ男の過去とは―――。
(公演チラシより引用)
2016年2月例会「王女メディア」
一世一代、ふたたび。
「長く記憶に残る演技」と高い評価を受けた初演から37年。
2013年に高瀬久男氏の演出で新しく甦り、日本各地で以前にも増す大絶賛を受けた作品です。
今も”メディア”が「身体の中に棲みついている」と語る平幹二朗さん。渾身の思いを込めて一世一代、再び『王女メディア』に挑みます。
《見どころ》
すべての 固有名詞(例えば名前・メディア) を 普通名詞(奥方様) に置き換えた高橋睦郎氏の修辞により、古代ギリシアの神話的事件が、いつの時代、どこの場所でも起こり得る普遍的ドラマとして展開していきます。また、全配役を9人の男優だけで、地声のまま演じる、まるで古典芸能を見るかのような迫力の舞台は見逃せません!!
《あらすじ》
コリントスのある屋敷から女の嘆く声が聞こえてくる・・・・・。
かつて―黒海沿岸の国コルキスの王女・メディアは、ギリシアのイオルコスからやって来たイアーソンと恋に落ちた。イアーソンが金羊毛を手に入れるため力を貸したメディアは、父を棄て、故郷を棄て、共にイオルコスへと向かったのだった。そしてイアーソンから王位を奪った領主を殺害し、コリントスへと逃れてきたのである。
けれどもいま―イアーソンは保身のため、コリントスの国王・クレオンの娘を妻に迎えることを決めてしまった。クレオンはメディアとその二人の息子に国を出て行くよう命令を下す。不実をなじるメディアに、イアーソンは子供たちの将来のためを思って新しい縁組を承知したと言い募るのだった。
「さあ、まっすぐに恐ろしいことへつき進もう・・・女と生まれた身ではないか。良いことにかけては全くの力なし、けれども、悪いことにかけてなら、何をやらせてもこの上ない上手といわれる、女と生まれたこの身ではないか」
自らの運命を嘆き、呪い、そしてメディアは復讐を決意する。
「この私をかよわい女、いくじのない女だと、誰に思わせておくものか―」