過去の作品紹介 2017年度
2017年12月例会『三 婆』
2017年10月例会『SOETSU~韓くにの白き太陽~』
白磁の白は、悲哀の色ではない。
何者にも染まらぬ太陽の白。
民藝運動の創始者として知られる柳宗悦(やなぎむねよし・しばしばそうえつと読まれる)。美学者・思想家として白樺派に参画し、日本民藝館を創設するなどその活動は今も受け継がれています。
物語は、宗悦の転機ともいえる日本統治下の朝鮮を舞台に展開します。激しい時代のうねりの中で、無名の職工の手仕事から生み出された日常品に「生活の美」を見出していく宗悦。大切な人たちとの出会いや仲間との葛藤の中で自らの生き方を模索する姿を力強く描いていきます。
ものがたり
美学者・柳宗悦(篠田三郎)は雑器として扱われていた朝鮮白磁の美しさに魅了され、予感に突き動かされるかのように1916(大正5)年初めて朝鮮に渡った。
浅川伯教・浅川巧兄弟や宿屋の女将・姜明珠(日色ともゑ)と知り合い、宗悦は朝鮮の美にのめり込んでいく。
名もなきものの営み。文化を育む土。おおらかなユーモアと生命力・・・・・。そして、失われゆく民族文化のための美術館設立へ。
しかし日本統治下の朝鮮では、宗悦の活動は統治政策の一環だと朝鮮人に誤解され、さらに朝鮮独立運動や関東大震災の痛ましい事件が、人々の間に亀裂を深めていく。
様々な矛盾の中から掴み取った一握りの確信が、やがて宗悦を日本の民藝運動の構想へと導いていく。
2017年8例会 『みすてられた島』
20XX年、寝耳に水の ”独立” 話に
島は大さわぎ!!
20XX年。とある島。
戦争が終わって安堵していた矢先、突然本土から独立を言い渡される。
「独立するってどんなこと?」と当惑する島長一家のもとに、島の有力者たちが次々と集まってくる。
とにもかくにも憲法を、と議論が始まり、侃々諤々、喧々囂々。
長い会議のそのかげで、将来不安から島を脱出しようという人々も…。
島の未来と個々の事情・愛情がからまって、はてさて、一体どうなる?!
上演への思い (劇団資料より)
2014年5月に上演されたこの作品は、『現代の「みすてられ感」を凝縮した舞台』として大きな話題を呼びました。
政治や経済の大きな流れの前で、見捨てられ、切り捨てられている人々・地域の存在が大きな問題になっています。
この作品の舞台となっているのは、東京にほど近い「ある島」ですが、それは沖縄であり、福島であり。全国の耕作放棄地、限界集落に共通するものだと思っています。 そして「国」とか「憲法」とは私たちにどのような関わりを持っているものなのか。改めて観る人に提示する作品ともなりました。
この舞台に登場する人々に共通する葛藤は、様々な事情で社会の中で切り捨てられた存在とされた時に、何をよりどころに生きていこうとするのか、ということにあります。 東京公演の舞台成果をベースにしつつ、その後さらに顕在化してきた課題を盛り込み、現代の「みすてられ感」に迫る、新たな連帯の可能性を示す舞台になればと願っています。
初演(2014年)時劇評より
◆群を抜く「みすてられた島」の面白さ。
いまそのものの問題を深く考えさせずにはいられない力感に満ちたもの。(「テアトロ」2014年7月号より)
◆作者・中津留章仁の若々しい筆は、日本現在のアクチュアルな問題をしっかりと見すえてたじろがず、きわめてリアル。(「テアトロ」2015年3月号「2014年舞台ベストワン」より)
◆人間喜劇の群像劇で現代の国際政治を抉った。達者なものだ。(「悲劇喜劇」2015年3月号「2014年演劇界の収穫」より)
2017年6例会 『十二人の怒れる男たち』
裁判劇の最高峰、必見の舞台!!
ヘンリー・フォンダ主演の映画が世界的大ヒットとなったこの作品、俳優座劇場プロデュースだからこそできる、劇団の、役者の個性が光る1988年の初演以来再演を重ねる財産演目です!
あらすじ
蒸し暑いある夏の日の午後。
十二人の陪審員たちは、一人の少年の父親殺しという容疑に、有罪(=死刑)の宣告をするか、無罪の評決を提出するかの重大な決定をしなければならない。
予備投票が行われる。 有罪十一票。無罪一票。
少年の容疑は動かしがたいものに思えていたら、無罪票を投じた陪審員が発言する
「我々が問題にしているのはある人間の命だということです。もし間違っていたらどうしますか?」
陪審員室の空気は一変し、男たちの討論は白熱していく―――。
感想文より (2015年公演時観客アンケートより)
◆有名なタイトルでしたが、筋も知りませんでした。初見で思うのは有罪も無罪も法でなく人が決めているんだと。立場や経験が違うから見えることもあり、それを意見するかどうかも人が決める。なぜ泣いてしまったのか、自分で分からなくて困りました。
◆どんどん意見が変わっていく展開でとても面白かったです。一人一人の色が出ていて、それぞれの意見も分かり、12人いても見ていて分かりやすかったです。セリフを言っていない方々の表情もその時のその人の心情が分かりました。本当に面白かったです。
◆前回までのキャストと全く顔ぶれが違う今回の公演はずーっと楽しみでした。初演から欠かさず拝見しているので、俳優の方達のタイプが変わることで、全体のイメージも変わってきますね。これからこのメンバーで再演が続くと、そこでも又、変化が生じると思うので、そちらも楽しみにしています。
◆とてもすばらしかった。有名な作品だから話の流れは分かっていましたが、会話劇がめまぐるしく展開して最初から最後までひきつけられました。皆さんの熱量に圧倒されました。
2017年4例会 『七人の墓友』
「あなたは誰とお墓に入りたいですか?」
家族・生き方・老人問題・・・・・
まさに現代を生きる私たちがそのまま舞台にいるような、笑いと涙と共感がたっぷりの作品です!
あらすじ
仁美はある日突然、実家の母・邦子にスカイツリーの展望台に呼び出される。飼い犬の桃太郎が死んだというのだ。死や人生についてしみじみと語る邦子に、仁美は母の心境の変化を感じ取る。
夏、家族や友人が久しぶりに顔を揃えた実家で、ひょんな諍いから邦子は夫・義男への積年の不満を爆発させ「あなたと同じお墓には入りたくない」と口走ってしまう。さらに海外在住の仁美の弟・義明が驚くべき告白をし、一家は大騒動に。
そして邦子は、地元のファミレスでやがて「墓友」となる個性豊かな老人たちと出会い・・・。
家に縛られない新しい墓のあり方を模索するお墓仲間・墓友たちの物語を中心に、
「結婚しないアラフォー女性」「長い長い老後」など現代的なテーマをぎっしり織り込んだ、深刻な問題を明るく、本音で、ユーモラスに描いた作品です。
墓友のこと(パンフレットより)
僕は見た目がおじいさんなので、たまに電車で小学生に席を譲られたりするのですが、実際は55歳。まだまだお墓の心配をする齢ではありません。でもその僕が「墓友」のことを知って興味を持った。
最初は「合理的だな」と思ったんですね。結婚しない、子供を持たない、という人が増えている。「お一人さま」が集まって互助的な役割もしながら運営する墓友のお墓のあり方は実に腑に落ちます。
それから「家の問題も大きいな」と思った。僕らはもはや「○○家の人」なんて意識は希薄で、個人の幸せを追っかけている。「○○家の墓」ではなく、気の合う仲間と住むシェアハウスのような「墓友の墓」を選ぶ人が増えるのは自然なことかもしれない。
「墓友」には、いま僕らが直面するさまざまなドラマが含まれるように思いました。家、家族、コミュニティ、お一人さま、高齢化社会、人の絆、多様な価値観・・・今日のお芝居は、そうした大事でやっかいな問題を楽しく一緒に考えましょう、というスタンスで書きました。たくさん笑いながら、何か一つでもお持ち帰りいただけるものがあれば作者としてこんなにうれしいことはありません。どうぞお楽しみください。
脚本:鈴木 聡
2017年2月例会 『朝食まで居たら?』
男気あふれる役どころのイメージの強い
津嘉山正種さん の コメディ!?
謹厳実直・無遅刻無欠勤のイギリス紳士を、
まじめに演じれば演じるほど可笑しみがにじみ出て・・・・・
公務員ジョージ危機一髪!
時は1970年、
舞台はロンドン北西部・ハムステッドにあるアパート。
その几帳面すぎる性格が災いして、妻に逃げられ、今では気ままな独身生活を満喫している公務員・ジョージ(津嘉山正種)
。
毎日同じ時間にかかってくる姉からの電話と、新しい料理にチャレンジするのが目下の楽しみ。
ある夜、夕食の準備をしていた時のこと、同じアパートの階上から臨月のヒッピー娘ルイーズ(野々村のん)が、男友達デイビー(高松潤)と大喧嘩してジョージの部屋に転がり込んで来た!?
ジョージは体よく追い返そうとするのだが、陣痛が始まったからさあ大変!!
「病院では生みたくない!!」というルイーズをなだめたり叱ったり、右往左往、果たして赤ちゃんは無事生まれるのか・・・・・?