過去の作品紹介 2020年度
12月例会「朗読劇 人間失格」
敗戦後の日本の焼け跡に立ち昇る、妖艶な道化の仮面の正体は―――
仲代がこよなく愛した太宰文学、その金字塔に無名塾が挑む!
【解説】
「恥の多い生涯を送ってきました。」
小説「人間失格」は、ある男のそんな身もふたもない独白から始まります。男は自分を偽り、人を欺き、取り返しようのない過ちを犯し、「失格」の判定を自らに下します。
太宰の人生が色濃く反映された「人間失格」。太宰の研究者やファンの中では「小説であると同時に遺書である」とも言われるこの小説が、不朽の名作と呼ばれる訳は?なぜ、今もなお現代人の心を惹きつけてやまないのでしょうか…‥
人が人として、人と生きる意味を問う、太宰治捨て身の問題作を仲代達矢率いる「無名塾」が『朗読劇』でお届けします。
【あらすじ】
明治38(1905)年、日本がようやく近代的な資本主義国となり始めた頃、天涯孤独の境涯にあった〈布引けい〉は、不思議な縁から拾われて堤家の人となった。
清国との貿易で一家を成した堤家は、その当主もすでになく、息子たちはまだ若く、妻の〈しず〉が弟・章介とともに困難な時代を生きていた。やがて〈けい〉は、その闊達な気性を見込まれ、長男・伸太郎の妻となる。次男・栄二に寄せた思慕は断ち切られ、〈けい〉は正真正銘、堤家の人となったのだ。そして、しずに代わる家の柱として、担いきれぬほどの重みに耐えながら、その「女の一生」を生きていくのであった……。
時は流れて昭和20(1945)年…。
二つの大戦を経る激動の時代を生きて、今、焼け跡の廃墟に佇むけいの姿は、過ぎ去った50余年の月日の、激しさと華やかさを秘めて、哀しい─
【解説・その他】
劇団創立から80年の中で、森本 薫の戯曲『女の一生』は幾度も上演されてきました。その度に少しずつ姿かたちを変え、時代とともに歩んできた作品といえるでしょう。
初演されたのは太平洋戦争末期の1945年4月。この僅か一ヶ月前の3月には東京大空襲によって10万人以上が犠牲となりました。やがて敗戦、焼け跡からの再生、高度経済成長、バブル、バブル崩壊から冷え込む経済、現在の混沌とした社会情勢。これらすべての事象には日本という国家を背景にした、人間一人一人の物語が紡がれているのであります。
今回の鵜山演出では、登場人物それぞれの生き様がクッキリと描かれ、布引けい、栄二、伸太郎、章介、しずといった人々が時代に何を感じ、どのように生きたのかが、これまでのどのバージョンよりも浮き上がり、物語としての『女の一生』の世界を隅々まで堪能できる仕上がりになっています。
山本郁子演じる布引けいは杉村、平とも異なり、非常にナチュラルな奥行を生みだします。このバージョンに物語性を強く感じ、あらためて『女の一生』ってこういう作品だったんだという感想を多くの方が持たれるのは、彼女の功績が大きいのかもしれません。
この作品は、人間それぞれの一生であると同時に、日本の一生でもあります。2011年の震災から立ち上がろうとしている東北にも重なるものがあります。
まさに今、東北の皆様に観て頂きたい作品です。
「アルジャーノンに花束を」は、2020年 4月から11月に延期しての上演決定!
夢にまで見た人生、そして直面する現実。その果てにチャーリイを待っていたものは――――
「あらすじ」
32歳になっても幼児の知能しかないチャーリー。昼はパン屋で働き、夜は知的障害者センターで勉強の日々。
そんなある日、彼のもとに夢のような話が舞い込む。偉い先生達が、手術で彼の頭を良くしてくれるというのだ。
しかし、人体実験選考のテストで彼は“アルジャーノン”と名付けられた一匹の白ねずみに負けてしまう。それでも彼は懇願し人類初の実験台に選ばれる。
手術後の経過は目覚しく、やがて彼のIQは189を超える。だが、夢にまで見た現実の世界は決して美しいものではなかった…。
「解説」
1990年、ダニエル・キイスのベストセラーを舞台化。
観客からの声に応え、初演以来異例の再演を重ね、感動の波が広がった。その後東京のみならず、日本各地でステージを重ね、これまでに400ステージに迫る上演回数を記録。
2017年6月にキャストを一新し、再びこの作品に新しい息吹を与え、更なる感動が甦ります。
2016年実施された、中高生に読んで欲しい本を全国の先生が選ぶ文学賞「君に贈る本大賞(キミ本大賞)」(読売中高生新聞)で「アルジャーノンに花束を」が第一位を獲得。「アルジャーノンに花束を」小説が早川書房から刊行され39年以上の年月が経つ今でも、この作品の魅力は私たちの時代と共に生き続けています。
8月例会 俳優座『八月に乾杯!』
あなたってかたに、めぐり逢うための人生だったのかしら、あたしの人生って もしかしたら
「story」
1968年、北国の夏の海辺に突然出現した正体不明の女、煙に巻かれてしまう保養所の医師。
二人が相手のことが気になりだして言葉を交わすようになったのは、しばらくたった音楽会の帰り道のことだった。
二人は若くない。それが惹かれあった。
普通の幸せをあまり貰っていなかった二人。ひとりぼっちだった二人。他の何百万人の男と女のように戦争で手ひどい仕打ちを受けた二人の慎ましいお話。
そして、二人が別れる時がおとずれ、八月に乾杯と―――。
「解説」
様々な過去をもつ男女…ひと夏を舞台に、老いてなお生きる喜び、人生の輝きを求める二人の恋物語。観劇後、「人生って捨てたもんじゃないなぁ」と温かい気持ちになれるお洒落なお芝居です。
本作は、ロシアの劇作家アルブーゾフによる二人芝居。
これまでにもこの脚本に魅了された杉村春子さんや越路吹雪さんらが、『古風なコメディ』、『ターリン行きの船』として、それぞれ別々のタイトルで上演されました。
俳優座では1981年に、村瀬幸子、松本克平で『八月に乾杯!』として上演され、全国各地で好評を博しました。
俳優座では1981年に、村瀬幸子、松本克平で『八月に乾杯!』として上演され、全国各地で好評を博しました。
俳優座の財産として、後世に残すべきこの作品を、岩崎加根子、小笠原良知という二人の名優が創り出します。 最高の叙情劇をご期待ください。
あなたも、しあわせを
一杯いかが?…
「story」
時は第二次世界大戦の火蓋が切って落とされた頃。
ニューヨークの閑静な住宅街に住むアビィとマーサ、二人の老姉妹がちょっと頭のおかしい甥のテディと暮らしていた。
二人は町では評判の慈善家で、屋敷を訪ねてくる身寄りのない寂しいお年寄りを、手作りの美味しい”ボケ酒”でもてなしていた。
テディの弟で近々結婚することになっている新聞記者のモーティマーも、この叔母たちを愛している。しかし、応接間のチェストの中で彼は見てはならない叔母たちの秘密を見つけてしまう・・・。
そこに、殺人罪で逃走中のもう一人の甥ジョナサンが相棒と久しぶりに帰ってきた。しかも彼は、殺した男の死体と共に帰ってきたのだ。
ハラハラ、ドキドキ、スリルたっぷりのストーリー。
果たしてこのおばあちゃま二人の秘密とは…?
2020年 2月例会 加藤健一事務所 「滝沢家の内乱」
とんでもない家に嫁いでしまった‥‥!
文政十年。「南総里見八犬伝」執筆中の滝沢馬琴(加藤健一)の息子・宗伯の元に嫁いできたお路(加藤忍)。高名な先生のお家と安心しきっていたが、そこはとんでもない家だった!!
一癖も二癖もある滝沢家の人々とのしっちゃかめっちゃかな毎日の中で、読み書きのできなかったお路が、目を患った馬琴に文字を教わりながら「八犬伝」を脱稿へと導くーーー。「みどころ」
この世に数多いる女性たちへの応援歌でありながら、「八犬伝」脱稿というロマンに向かい、家族や師弟、男女の関係を超越してつながる二人の深い絆を描いた感動のドラマでもある、笑って泣いて大忙しのカトケン時代劇です。
“ごくフツーの女の子”だった「お路」の、嫁入りから成熟し貫禄ある大人の女性になるまでの遍歴をたどる細腕繁盛記のような成長ドラマ。 波瀾万丈な日常を抱えながらも粘り強く大作を書き続けようとする読本作家「滝沢馬琴」の“物書きとしてのロマン”。 そして気の遠くなるような共同執筆作業の果てに立ち現れる人知を超えた二人の絆など、この舞台には、共感・感動入り混じる、実に深く多様な物語がふんだんに込められています。 (劇団解説より抜粋)