作品紹介(2025年)
私達はこの世を見るために、聞くために、生まれてきた。
ただそれだけを望んでいた。 …だとすれば、
何かになれなくても、私達には生きる意味があるのよ。
ミュージシャン・タレントとしても有名なドリアン助川が書いた小説「あん」は、かつてハンセン病患者が社会から断絶され隔離されていた歴史的事実をもとに、心ない噂や真実に基づかない偏見によって苦しめられながらも、生きることの尊さを訴えた作品である。
今、日本のみならず世界ではコロナ禍もあり分断と格差が広がっている。 生きることの尊さを再確認する舞台として上演します。
【あらすじ】
~人はなんのために生まれてきたのだろう~
線路沿いから一本路地を抜けたところにある小さなどら焼き店。 千太郎が日がな一日鉄板に向かう店先に、バイトの求人をみてやってきたのは、70歳を過ぎた手の不自由な女性・吉井徳江だった。
徳江のつくる「あん」の旨さに舌をまく千太郎は彼女を雇い、店は繁盛しはじめるのだが……。
偏見のなかに人生を閉じ込められた徳江、生きる気力を失いかけていた千太郎、ふたりはそれぞれに新しい人生に向かって歩き始めるのだが……。